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 ■ 付合 (ふごう)

民法が規定する所有権の取得方法の1つです。 A. 不動産に物体が合体した場合と、 B. 物体同士が合体した場合とで、扱いが若干異なりますので、分けて説明したいと思います。
  1. 不動産に物体が合体した場合
    不動産の所有者が、合体した物体の所有権を取得します。ただし、承諾を得て不動産に合体させた場合は、依然としてその物体の所有権は元の持ち主のままです (民法242条)。
  2. 物体同士が合体した場合
    損傷を与えない限り分離できない場合、もしくは分離するのに過大な費用を要する場合、合体した物体の所有権は、メインとなる物体の持ち主が取得します (民法243条)。どっちの物体がメインか分からない場合は、付合したときの価額に応じて新しくできた物体を共有することになります (民法244条)。
他の添付系(混和、加工)と同じように、付合によって2つのモノが1つになるわけですから、所有権を失ってしまう人が出てきます。所有物が消滅することでその人は損をするわけですから、所有権を得た人に対して、「得した分のお金をよこせ」 と請求することができます (民法248条)。
(2005.10.23)

 ■ 附帯控訴 (ふたい こうそ)

既に始まった控訴審において、控訴の相手方(被控訴人)は、自分の控訴権が既に消滅していたとしても、控訴審の口頭弁論終結前であれば、自分に有利な判決を求めて不服申立てをすることができます (民訴法293条)。
これを 「附帯控訴」 といいます。 控訴権が消滅しているのに、実質、控訴めいたことができるなんて、不思議な感じがしますね?
実は、控訴審には、 「控訴人についての不利益変更の禁止」 というルールがあります (民訴法304条)。 たとえば、相手が控訴してきて、自分は控訴しないまま期間が過ぎちゃって控訴権が消滅してる場合を想定してみてください。 ルールによると、その控訴審では一審と比べて相手に有利な判決が出るかもしれないけれど、自分に有利な判決は絶対出てこないというわけです。
そんな控訴審に付き合わされるのはいくらなんでもキツイんじゃないか、ということで出てきたのが、この 「附帯控訴」 です。 附帯控訴しておけば、控訴した時と同様、自分に有利な判決を期待できるようになります。 附帯控訴状を控訴裁判所か一審裁判所に提出すればよいのです (民訴法293条3項)。
相手方の控訴が取り下げられたり、却下されたりすると、附帯控訴も失効するのが原則です (民訴法293条2項)。 相手方の控訴を前提とした救済措置的ルールですので当然ですね。 ちなみに控訴の要件を備えた附帯控訴は独立した控訴として、相手方の控訴の取り下げ等にかかわらず効力を維持します (民訴法293条2項後段 独立附帯控訴)。
(2005.12.1)

 ■ 負担付遺贈 (ふたんつき いぞう)

遺贈をするにあたって、受遺者が一定の義務を負うこととセットにすることができます。これを 「負担付遺贈」 といいます。具体的には、 「財産をあげるかわりに、子供が成人するまで育ててほしい」 といった場合があげられます。負担付遺贈を受けた人は、もらえる財産の価額の限度で、義務を履行することになります (民法1002条) 。
財産だけもらって履行しないような場合には、相続人は相当の期間を定めて履行の催告ができ、それでも履行がないならば、遺言の取消しを家庭裁判所に請求できます (民法1027条) 。
また、負担付遺贈も遺贈の一種ですから、放棄をすることができます。放棄した場合、その財産はどこへ行くのでしょうか? それは遺言に特別の指示がないかぎり、 「負担の受益者」 すなわち、育ててもらえるはずの子供のものになります (民法1002条2項) 。

ちなみに、負担付遺贈を受けた場合の相続税はどうなるのでしょう? 相続税基本通達の11条2項7号は、以下のように規定します。
「負担付遺贈により取得した財産の価額は、負担がないものとした場合における当該
財産の価額から当該負担額 (当該遺贈のあった時において確実と認められる金額に
限る。)を控除した価額によるものとする」
負担に相当する部分には課税しない、ということのようです。そりゃそうですよね。
(2005.11.28)

 ■ 復権 (ふっけん)

有罪が言い渡されると、法律上の資格が喪失・停止することがあります。しかし、この「復権」が行われると、その資格が回復します。復権には、政令で要件を定めて行われる場合と、特定の人に対して行われる場合の2種類があります。ただし、刑罰の執行が終っていない人、刑罰の執行が免除されていない人については、行われません。
特定の人を復権させる場合、保護観察所の長、検察官が中央更生保護審査会に審査をお願いし、審査会が「与えても良い」と判断した場合にのみ行われます。復権が行われると、法務大臣から復権状が送られます。あまり知られていませんが、恩赦法という法律があり、その9条・10条に「復権」に関する規定があります。
復権に加え、「大赦」 「特赦」 「減刑」 「刑の執行の免除」 の5つを、「恩赦」といいます。それらの認証 (この恩赦は正当な手続で行われていますよ、と証明すること)は、天皇がします (内閣から助言と承認をもらって行います。憲法7条6号)。
(2005.10.1)

 ■ 物権 (ぶっけん)

なんらかの物体を直接的に支配する権利のことを、「物権」といいます (物体には土地も含みます)。これに対して「債権」とは、他人に何かしてもらう権利です。
物権は、法律で定められたもの以外を、当事者で勝手につくることはできません (民法175条。これを物権法定主義といいます)。では、民法で定められている物権はどんなものかというと、以下の9種類があります。
  1. 占有権 (180〜205条)
  2. 所有権 (206〜264条)
  3. 地上権 (265〜269条の2)
  4. 永小作権 (270〜279条)
  5. 地役権 (280〜294条)
  6. 留置権 (295〜302条)
  7. 先取特権 (303〜341条)
  8. 質権 (342〜368条)
  9. 抵当権 (369〜398条の22)
物権として代表的なのは、 2. の所有権だと思います。日常生活でも、「それ、オレの」とか、「私のがない!」とかよく言いますよね。「オレの」 「私の」という権利を、法律的には 「所有権」 というわけです。
また、 3. 4. 5. を 「用益物権」 、 6. 7. 8. 9. を 「担保物権」 といいます。用益物権とは、物体によって使用収益を図ることができる権利で、担保物権とは、貸した金を返してもらえない場合に、その物体を売却してお金に換えることができる権利です。各権利については、それぞれの項目をご覧下さい。
(2005.10.27)

 ■ 物権的請求権 (ぶっけんてき せいきゅうけん)

上で、物権とはなんらかの物体を直接的に支配する権利のこと、と書きました。しかし、日常生活では、たびたびその権利が他人に侵されたり、侵されそうになったりして、支配できなくなることがあります。これを防ごうとする権利を、 「物権的請求権」 というわけです。
物権的請求権には、以下の3種類があります。
  1. 物権的返還請求権
  2. 物権的妨害排除請求権
  3. 物権的妨害予防請求権
「おい、ちょっと、待てよ」 民法のどこ探しても、物権的請求権についての条文なんてないじゃないか、というご指摘があるかもしれません。ここが民法の不親切なところで、当然に認められるものは、条文として書かれていない場合があります (この当然は、「法律家にとっての当然」ということなので、一般の方にとっては不親切というほかありませんが)。
あえて認められる根拠をいうと、物権の一形態である、占有権に同じような権利が認められていること (198〜200条) 、189条2項や202条1項に「本権の訴え」という文言が使われていることが挙げられます (つまり、この 「本権の訴え」 が、物権的請求権を意味しているのではないか、と解釈しているわけです)。
※ ただし、物権的請求権といっても、すべての物権で認められるわけではありません。留置
権や先取特権などは行使できませんので、ご注意を (302条、333条) 。
(2005.10.27)

 ■ 物権的返還請求権 (ぶっけんてき へんかん せいきゅうけん)

簡単にいえば、自分の物を他人に奪われたときに、自分の元に返還させることができる権利です。民法でいう 「物」 とは、有体物のことを意味します (85条)。有体物を分かりやすくいえば、「形ある物」「物体」です。ですから、土地や建物のような不動産も、「物」にあたります (日常生活において、人間が持ち上げられないようなものを 「物」 とはあまり言いませんから、違和感を感じるかと思いますが)。
自分の物 (不動産以外) を他人に奪われ、返してくれという請求を 「引渡請求」 、自分の不動産を他人に占拠され、出てってくれという請求を 「明渡請求」 といいます。
(2005.10.27)

 ■ 物権的妨害排除請求権 (ぶっけんてき ぼうがい はいじょ せいきゅうけん)

簡単にいえば、他人が自分の物に対して妨害しているときに、止めさせることができる権利です。 「物権的返還請求権」 のところでも書きましたが、土地・建物といった不動産も含め、形ある物すべてが、ここでいう 「物」 に該当します。
妨害とは、占有が奪われるという方法以外で、自分の物に対してイヤなことをされることです (抽象的ですいません) 。自分の土地にゴミを不法投棄された場合などに、この権利を行使することができます。
(2005.10.28)

 ■ 物権的妨害予防請求権 (ぶっけんてき ぼうがい よぼう せいきゅうけん)

簡単にいえば、他人が自分の物に対して妨害しようとしているおそれがあるときに、それを止めさせることができる権利です。 「物権的返還請求権」 のところでも書きましたが、土地・建物といった不動産も含め、形ある物すべてが、ここでいう 「物」 に該当します。
妨害とは、占有が奪われるという方法以外で、自分の物に対してイヤなことをされることです (抽象的ですいません) 。地震で隣のブロック塀が自分の土地側に崩れそうになっているときに、この権利を行使することができます。
(2005.10.28)

 ■不当利得 (ふとう りとく)

「不当利得」とは、
  1. 法律上の原因が無いのに、
  2. 他人の財産・労務により利益を得、
  3. そのために
  4. 他人に損失を与える
そういう行為、またはそれにより得られる利益のことをいいます。
具体的には、誤って他人の債務を自分の債務だと思って弁済してしまった、とか、売買契約を結んで目的物の引渡しを受けたが、実は無効な契約であった、といった場合のように、当初は正当であると思われる給付であったのに、実は正当ではなかったので返してもらえないだろうか・・・。
そんなふうに困った給付が起きてしまった時の給付された利益(または給付を受ける行為)のことを不当利得と呼んでいるのです。
さぁ、後始末をどうしましょう。民法703 ・704条は、公平の理念に従って、不当利得は返還しなければならないと定めています。すなわち、
  1. 不当利得になることを知らずに受領した者は、利益が現存する限度で(使った分は、返さなくて良い)
  2. 知ってて受領した者は、受けた利益の全部に利息・損害賠償を付けて
それぞれ返還しましょうね、というわけです。
それでは、賭博で負けた金銭を不当利得ということで返してもらえるのでしょうか。民法708条はこういう公序良俗に反する給付を「不法原因給付」と規定して、ダメだと言っています。不当利得返還のルールは、公平の理念の実現のために出てきたものですから、賭博で負けた人を法が保護する理由はないというわけです。
(2005.12.12)

 ■ 不法原因給付 (ふほう げんいん きゅうふ)

民法708条は、 「不法な原因に基づいて他人に何かをあげた場合、あげた人はそれを返してもらえません」 と規定しています。これだけでは、なんのこっちゃ、ですよね。
この規定には、二つの大前提があります。一つは、不法な原因に基づく契約は無効であるということ。もう一つは、通常、契約が無効だったり解除されると、不当利得返還請求という権利に基づいて、あげたモノを返してもらえるということです。たとえ相手が返すのを嫌がったとしても、法(裁判所)の力を借りて、強制的に返してもらうことができます。しかし、不法な原因に基づいた場合は、法(裁判所)は力を貸さないぞ、というのが、この規定のいわんとするところです。
逆にいえば、当事者同士が、勝手に返すことまで禁止する規定ではありません。
「不法な原因に基づく」 かどうかは、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるかどうかで判断する、というのが最高裁の見解です。
あと、「他人にあげた」といえるには、「終局的な利益を与えた」と評価できなくてはいけません。不法な原因に基づいて抵当権を設定したとしても、「終局的な利益を与えた」とはいえないから、抵当権設定登記を抹消してもらうことができます。
(2005.11.23)

 ■ プロボノ (ぷろぼの)

この言葉も、ホームページ巡りをしていて、よく目にされたのではないでしょうか。公益的な業務・活動を、無償で行うことです。プロボノの語源は、ラテン語の「pro bono publico」で、「公共善のために」を意味しています (ウィキペディアより)。
アメリカでは、プロボノ活動は弁護士の責務とされており、弁護士業務規則で年間50時間のプロボノ活動に従事すべきと定められています。そして、お隣り韓国では、2000年に弁護士法が改正されてプロボノ活動が弁護士の義務となり、年間30時間のプロボノ活動をしない場合は、1時間につき一定金額の納付しなければなりません (平成14年3月12日に行われた、第2回法曹制度検討会における日弁連の配付資料より)。
(2005.9.27)

 ■ 文書提出義務 (ぶんしょ ていしゅつ ぎむ)

民事訴訟において、 「私の言い分の方が正しいですよ」 ということを裁判官に認めてもらうために、その証拠として文書を提出することがあります。勝つために必要な文書を、自分が持っていれば何の問題もありませんが、しばしば、他人の手元にあることがあります。特に訴訟で闘っている相手の手元にある場合、すんなり協力してくれるはずがありません。自分は本来勝つべき当事者なのに、文書の持ち主から提出を拒否されたというだけで負けてしまったら困りますよね。そこで、民事訴訟法は、国民に対し、一定の場合に提出を義務付けたわけです。
義務付けられるケースには、以下のものがあります (引用条文は、すべて民事訴訟法) 。
ちなみに、 「挙証者」 とは、自分の主張する事実を認定してもらうために、裁判官に対して 「この証拠 (ここでは文書) を見て下さい」 とお願いする当事者のことです。
  1. 当事者が訴訟において引用した文書を持っているとき (220条1号)
  2. 挙証者が、文書の持ち主に引き渡しを請求することができるとき (220条2号)
  3. 挙証者が、文書の持ち主に閲覧を請求することができるとき (220条2号)
  4. 文書が、挙証者の利益となるように作成されたとき (220条3号)
  5. 文書が、挙証者と文書の持ち主との法律関係に明らかにするために作成されたとき (220条3号)
  6. 上の5つのケースに当たらない場合であっても、下記項目に該当しない文書であれば、提出を拒否できません。 (220条4号イ〜ホ)
    1. 文書の提出により、持ち主もしくはその近親者が起訴されたり、有罪になってしまうおそれのあるとき
    2. 公務員の職務上の秘密に関する文書で、提出することによって公共の利益を害してしまうもの、または公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
    3. 医師、弁護士、住職、牧師さんなどが職務上知り得た事実や、技術・職業の秘密について書かれた文書で、かつ、秘密にしておかないといけない内容のもの
    4. 自分が使用するために作成された文書
    5. 刑事事件にかかわる訴訟に関する書類、もしくは少年の保護事件の記録、またはこれらの事件において押収されている文書
メチャクチャ長くなった割には、具体例がなくて分かりにくいですね。もう少し工夫したいと思います。
(2005.11.2)

 ■ 文書提出命令 (ぶんしょ ていしゅつ めいれい)

民事訴訟において、 「私の言い分の方が正しいですよ」 ということを裁判官に認めてもらうため、その証拠として文書を提出することがあります。しかし、他人の手元に提出したい文書がある場合、すんなりと応じてくれないことがありますから、裁判所の力を借りてその文書を提出してもらうわけです。その裁判所の命令を、 「文書提出命令」 といいます (民事訴訟法223条。この命令は個別の裁判官が行うわけではありませんので、法的性質としては、 「決定」 なんですが)。
もちろん、当事者から、「文書提出命令をお願いします」 という申立てなしに、裁判所が勝手に行うことはできません。そして、その文書が提出が義務付けられているもので、かつ、裁判官が 「この文書は取り調べてみる必要があるなー」 と判断した場合に初めて、文書の提出を命じてもらえます。
あと、逆らった場合の効果を少し。第三者が命令に逆らった場合、裁判所は「20万円以下の過料を支払いなさい」という決定を下す可能性があります。それに不服なときは、即時抗告を行うことができます (ただし、1週間以内に提起しないといけないので、ご注意を) 。
裁判を行っている当事者が逆らった場合、裁判所は文書を調べることなく、提出命令を申し立てた方の主張を認めることができます。あと、提出義務のある文書を、相手方に使われないようにとシュレッダーにかけたような場合も、裁判所は相手方の主張を認めることができます。上手く考えたものですね。
(2005.11.3)


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